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2011年6月17日
ベクター対策調査に関する報告書

調査期間:平成24年6月8日~6月17日
報告者:東京大学大学院・農学生命科学研究科・三條場千寿

サシチョウバエの生態調査(分布・活動時間)を昨年に引き続き行うと共に、
以下の項目につき調査を行った。

1) 長期残効型蚊帳の効果持続性に関する評価検査

目的:ピレスロイド系殺虫剤含有長期残効型蚊帳、オリセット(住友化学)の有効性がバングラデシュで採集されたサシチョウバエに対しても昨年の試験で明らかになった。そこで、本年度は現地に半年間設置したオリセットの薬剤持続効果を評価する。
方法:2011年10月現地住民宅に試験的に設置したオリセットの6か月使用後薬剤持続効果をWHO指定cone test法により判定した(写真1、2)。試験はオリセットとコントロールネットを用いて各3回行った。 WHO指定容器内で20~30匹のサシチョウバエをオリセット、またはコントロールネットに3分間接触の機会を与え、その後、飼育容器に移し12時間後までの生存率および行動を記録した。
1.使用前オリセット 2.6か月使用後オリセット
1.使用前オリセット 2.6か月使用後オリセット

2) 室内残留性噴霧(Indoor residual spraying:IRS)の効果予測調査

目的:IRS対象地域と非対象地域においてサシチョウバエの密度および分布域を比較することにより、IRSの効果予測を行った。(マイメンシン県トリシャールにおける第1回目のIRSは2012年4月9日から5月15日に実施された。第2回目は2012年9月、10月の予定である)。
方法:IRS対象地域(Magujoura)(写真3、4)、非対象地域(Sonmukh Bailor、Akhrail)においてライトトラップ(光誘引式捕虫器)をそれぞれ同条件にて目的の場所に設置し、翌朝トラップを回収、採集されたサシチョウバエをトラップごとにサンプリングした。
3.IRSが実施されたカラ・アザール患者の家 4.ドアにIRSが実施された記録
3.IRSが実施された
カラ・アザール患者の家
4.ドアにIRSが実施された記録
採集されたサシチョウバエは、種の同定を行い、雌サシチョウバエの吸血有無の割合等を各地域、また地域内の各条件により統計学的に解析する。今後は、これらの調査結果とオリセットの効果持続性評価試験の結果をもとに、カラ・アザール流行地におけるオリセットの必要性を検討し、小規模トライアル地域を選定する。

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